「1株1,000円」という表示だけを見て予算を組むと、見積りで必ず驚くことになります。基本治療費、隠れコスト、そして株数が増えたときの跳ね上がり方まで、公式サイトの数字だけで全部並べました。
- 自毛植毛の総額はおおむね36万円〜300万円。幅が大きいのは「基本治療費」と「株単価」の2階建てだから。単価だけ比べても意味がない
- 最大の落とし穴は「刈り上げない(ノンシェーブン)」を選んだ瞬間、株単価が1.4〜2.5倍に跳ね上がること。ここで見積りが破綻する人が最も多い
- だから業界には「植え放題(定額制)」という第3の料金体系が生まれた。ただし約1,300〜1,400株が損益分岐点で、それ未満なら株単価制のほうが安い
- 血液検査費・カバーシート代・保証オプション(施術費の20%)といった隠れコストは院ごとに0円〜30万円以上の差がある
3つ選ぶだけで、主要7院の総額と月々の支払額が出ます
自毛植毛の費用相場は36万〜300万円。なぜこんなに幅があるのか
自毛植毛の費用相場は、移植する株数によって36万円から300万円超まで大きく変動します。 同じ「自毛植毛」なのに、なぜ10倍近い差が生まれるのでしょうか。 答えはシンプルで、自毛植毛の料金が「面積」ではなく「株数」で決まるからです。 生え際を少し下げるだけの500株と、前頭部から頭頂部まで覆う2,500株では、そもそも移植する量が5倍違います。 ここまでは、どのサイトにも書いてあります。 問題は、株数が同じでも、クリニックによって総額が2倍以上違うという事実のほうです。 たとえば1,000株。 ある院では66万円ですが、別の院では253万円です。 同じ1,000株なのに、187万円の差がつきます。 この差はどこから来るのでしょうか。 次のセクションで、料金の「3階建て構造」を分解します。
必要な株数の目安は薄毛レベル別・部位別の必要グラフト数早見表で詳しく解説しています。
自毛植毛の料金は「3階建て」でできている
自毛植毛の見積書は、必ずこの3つの階層で組み立てられています。 この構造を知らないままカウンセリングに行くと、提示された総額に面食らうことになります。 図で見てください。
1F:基本治療費(0円〜33万円)
株数に関係なく、手術を受けるだけで必ずかかる固定費です。 麻酔、器具、術後の検診などがここに含まれます。 多くのクリニックが220,000円に設定していますが、湘南美容クリニックは公式サイトで基本治療費0円を掲げています。 一方、親和クリニックの「NC-MIRAI法」(刈らない術式)は330,000円と、術式によって基本治療費自体が上がる設定です。
2F:株単価 × 株数(ここが総額を暴れさせる)
総額の大部分を占め、かつ最も読者を裏切るのがこの階層です。 株単価は440円から2,200円まで、実に5倍の開きがあります。 そして単価を跳ね上げる最大の要因が、「後頭部を刈り上げるかどうか」。 これについてはセクション4で数字を全部並べます。
3F:隠れコスト(0円〜30万円超)
見積書の一番下に小さく載っている、あるいはカウンセリングで初めて知らされる費用です。 血液検査費、刈り上げ跡を隠すカバーシート代、生着しなかった場合の保証オプション代。 これを一覧にした記事は筆者の知る限り存在しなかったので、セクション5で作りました。
東京植毛クリニックでは、LINEで写真を送るだけで、必要な株数の目安と概算見積りを無料で確認できます。いきなり来院や手術を予約する必要はありません。その場で契約する必要もありません。まず数字を持ち帰ってください。
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※自毛植毛は公的医療保険が適用されない自由診療です。費用・術式・リスク(ショックロス、腫れ・痛み、採取部の瘢痕、毛嚢炎、感覚鈍麻など)については、必ず医師から直接説明を受けてください。効果には個人差があります。料金は2026年7月時点の公式サイト掲載額です。契約はその場で決めず、見積書を持ち帰って比較することをおすすめします。
主要9院の総額比較表(1,000株/2,000株)
ここが本題です。 各院の公式サイトに掲載されている基本治療費と株単価から、1,000株・2,000株の総額を計算しました。 株単価ではなく、実際に払う金額で並べています。 なお本記事では順位づけや優劣の評価は一切行いません。 医療広告のルール上も、また読者にとっても、「どの院が優れているか」より「自分の条件ではどこがいくらか」のほうが100倍役に立つからです。
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| クリニック | 基本 治療費 | 株単価 (刈上げ) | 1,000株 総額 | 2,000株 総額 |
|---|---|---|---|---|
| カミノ クリニック | 22万円 | 440円 | 66万円 | 110万円 |
| 湘南美容 クリニック | 0円 | 720円 | 72万円 | 144万円 |
| 紀尾井町 クリニック(FUT) | 22万円 | 660円 | 88万円 | 154万円 |
| アスク井上 クリニック | 22万円 | 880円 | 110万円 | 198万円 |
| 東京植毛 クリニック | 22万円 | 900円 | 112万円 | 149万円 ※植え放題 |
| 紀尾井町 クリニック(FUE) | 22万円 | 990円 | 121万円 | 220万円 |
| 親和クリニック (MIRAI法) | 22万円 | 990円 | 121万円 | 220万円 |
| アイランドタワー (i-Direct) | 22万円 | 990円 | 121万円 | 220万円 |
| ヨコ美 クリニック(FUE) | — | 1,375円 | 137万円〜 | 275万円〜 |
※2026年7月時点、各院公式サイト掲載の税込価格から算出(基本治療費+株単価×株数)。モニター割引・キャンペーンは含みません。東京植毛クリニックの2,000株は定額の「植え放題プラン」を適用した金額です。最新の料金は必ず各院の公式サイトでご確認ください。
② 湘南美容クリニックは基本治療費0円のため、500株程度の少量では総額36万円となり、固定費の影響を受けにくい構造です。
③ しかし——この表は「後頭部を刈り上げる」場合の話です。刈り上げたくない人にとって、この表はほとんど意味を持ちません。次のセクションを必ず読んでください。
「刈り上げない」を選んだ瞬間、株単価は1.4〜2.5倍になる
自毛植毛を検討する人の多くが、最初にこう考えます。 「後頭部を刈り上げたら確実にバレるので、刈らない方法にしたい」 きわめて自然な発想です。 営業職、経営者、接客業、人前に立つ仕事の人ならなおさらでしょう。 そしてここで費用計画が破綻します。 「刈り上げない植毛」——ノンシェーブン法は、株単価が1.4〜2.5倍に跳ね上がるからです。
これを2,000株の総額に換算すると、数字はもっと残酷になります。
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| クリニック(刈らない術式) | 基本治療費 | 株単価 | 2,000株の総額 |
|---|---|---|---|
| 親和 NC-MIRAI法 | 33万円 | 2,200円 | 473万円 |
| アスク アンシェーブン | 22万円 | 1,430円 | 308万円 |
| アイランド U-Direct | 22万円 | 1,650円 | 352万円 |
| カミノ ノンシェーブン | 22万円 | 880円 | 198万円 |
| 湘南 ノンシェーブン | 0円 | 950円 | 190万円 |
| 東京植毛 部分刈り(植え放題) | 定額(127万円) | 149万円 | |
※2026年7月時点、各院公式サイト掲載の税込価格から算出。東京植毛クリニックの植え放題プランは上限が約2,554株(2025年4月以降・公式は「上限数は随時更新」と記載)です。
そして多くの検討者は、この事実をカウンセリングの見積書を見た瞬間に初めて知ります。株単価だけを見て「2,000株なら200万円くらいか」と予算を組んでいた人が、470万円という数字を突きつけられる。これが植毛の見積りで最も多い「事故」です。
詳しくは刈らない植毛(ノンシェーブン)の費用が1.4〜2.5倍になる理由で解説しています。
誰も一覧にしていない「隠れコスト」
株単価と基本治療費を足しただけでは、支払総額にはなりません。 各院の公式サイトをすべて読み込んで、3F部分の隠れコストを一覧にしました。 これはどのメディアにも載っていません。
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| 項目 | 金額の実例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 血液検査費 | 0円〜15,950円 | アイランドは0円、湘南は15,950円。院で差が出る |
| カバーシート (刈り上げ隠し) | 66,000〜 110,000円 | 親和の場合。刈り上げ跡を隠す部分ウィッグ。これを買うくらいなら最初からノンシェーブンを検討すべき |
| 保証オプション | 施術費の20% | 東京植毛クリニックの場合。149万円なら+約30万円。無料ではない |
| 術前検査費 | 5,000〜20,000円 | 院により基本治療費に含まれる場合あり |
| 交通費・宿泊費 | 0円〜実費 | アイランドは全額負担、東京植毛は一部負担。遠方なら無視できない |
| 術後のAGA内服薬 | 年間6〜12万円 ×継続年数 | 最大の見落とし。植毛後も既存毛を守るため服薬継続を指示されるのが一般的 |
※2026年7月時点の各院公式サイト記載内容にもとづきます。院・術式・時期により変動します。
つまり、植えた前髪だけが残って奥がスカスカになる——いわゆる「離れ小島」を防ぐには、術後も投薬を続ける必要があるのが一般的です。
「植毛すれば薬から解放される」と思って踏み切った人が、最も後悔するポイントです。植毛してもAGA治療薬をやめられない理由で、10年間の総コストまで含めて試算しています。
第3の料金体系「植え放題(定額制)」と、その損益分岐点
ここまで読んで、株単価制の構造的な欠陥に気づいたでしょうか。 株数が増えるほど、総額が青天井に伸びる。 しかも必要な株数は、自分では決められません。 決めるのは医師です。 「1,500株くらいかな」と思って行ったら「2,500株必要です」と言われる。 その瞬間、予算は100万円単位で崩壊します。 この不安に対する回答として生まれたのが、「植え放題(定額制)」という第3の料金体系です。
損益分岐点は「約1,300〜1,400株」
定額制を採用している東京植毛クリニックの「植え放題プラン」で計算してみます。 基本治療費22万円 +定額127万円 = 総額149万円(上限 約2,554株)。 同院の株単価は刈り上げる場合900円、刈り上げない場合980円。 定額分127万円をそれぞれで割ると—— 刈り上げる場合:127万円 ÷ 900円 =約1,411株 刈り上げない場合:127万円 ÷ 980円 =約1,296株 つまり、この株数を超えるなら定額制のほうが安く、下回るなら株単価制のほうが安いということです。
東京植毛クリニックの500株=約67万円に対し、湘南美容クリニックは36万円、カミノクリニックは44万円。倍近い差がつきます。
定額制が意味を持つのは、「刈り上げたくない × 1,000株以上」という、はっきり限定された条件のときだけです。この条件から外れる人は、株単価制の院を検討したほうが合理的です。
親和 NC-MIRAI法:473万円
アイランド U-Direct:352万円
アスク アンシェーブン:308万円
東京植毛 部分刈り(植え放題):149万円
差額は160万〜320万円。株数が増えても料金が1円も動かない、という定額制の性質が、ノンシェーブンと組み合わさったときに最も効きます。
仕組みの詳細は株単価制の落とし穴と「植え放題(定額制)」の正体で解説しています。
費用の話は、必要株数が決まらなければ始まりません。
逆に言えば、株数さえ分かれば、この記事の表で総額を自分で計算できます。
定額制を採用している東京植毛クリニックでは、LINEで写真を送るだけで、必要な株数の目安と概算見積りを無料で確認できます。いきなり来院や手術の予約をする必要はありません。
※自毛植毛は公的医療保険が適用されない自由診療です。費用・術式・リスク(ショックロス、腫れ・痛み、採取部の瘢痕、毛嚢炎、感覚鈍麻など)については、必ず医師から直接説明を受けてください。効果には個人差があります。料金は2026年7月時点の公式サイト掲載額です。
支払い方法:医療ローンは「回数と頭金」で月額が倍違う
100万円を超える費用を現金一括で払える人は多くありません。 実際、多くの人が医療ローン(分割払い)を利用します。 ここでも院ごとの差は大きく、しかもこの差を比較した記事はどこにもありませんでした。
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| クリニック | 分割回数 | 頭金 | 備考 |
|---|---|---|---|
| アイランドタワー | 最大120回 | 不要 | 回数は最長 |
| 湘南美容 | 3〜84回 | 不要 | 月々3,000円〜 |
| 東京植毛 | 最大84回 | 不要 | 植え放題なら月々23,900円〜 |
| 親和クリニック | 最大60回 | 20万円必須 | 頭金が必要な点に注意 |
※2026年7月時点、各院公式サイト掲載情報。金利は一般に年率3〜10%程度とされ、審査結果により異なります。
後悔の声として多いのが「金利が想像より高かった」「毎月の支払いが思ったより重かった」というもの。総支払額(元本+金利)を必ず契約前に確認してください。
回数・頭金・金利の詳しい比較は植毛の医療ローンを全院横比較にまとめています。
費用を抑える現実的な3つの方法
方法1:株数を絞る(最も効果が大きい)
総額の大部分は「株単価 × 株数」です。 つまり、株数を減らせば総額は素直に下がります。 「頭頂部まで全部」ではなく「生え際だけ」に絞る。 これだけで2,000株が800株になり、総額は半分以下になります。 そして重要なのは、頭頂部は面積が広く、株を大量に消費する割に視覚的な満足度が出にくいという点です。 限られたドナー(後頭部の毛)をどこに使うかは、一生の予算配分の問題です。 後頭部のドナーには生涯採取上限があるという話は、費用の話でもあります。
方法2:モニター制度(ただし代償がある)
多くの院が10〜50%OFFのモニター制度を持っています。 ただし割引率には条件があります。 顔出しあり:40〜50%OFF顔出しなし:10〜20%OFF つまり大幅な割引を得るには、自分の術前・術後の写真が、クリニックの広告やSNSに半永久的に残ることを受け入れる必要があります。 「バレたくないからノンシェーブンにする」人がモニターを選ぶのは、そもそも矛盾しています。 植毛モニターの割引率と、誰も言わない代償で詳しく検討しました。
方法3:料金体系そのものを選ぶ
そして3つ目が、この記事の核心です。 値切るのではなく、料金体系ごと変える。 刈り上げずに1,000株以上を植えるつもりなら、株単価制を選んだ時点で200万〜470万円の世界に入ってしまいます。 同じ施術内容でも、定額制なら149万円で天井が決まります。 これは値引きではなく、構造の選択です。 自分の条件がどちらに当てはまるのか。 それを判断するために、自分に必要なグラフト数の目安を先に把握しておくことを強くおすすめします。
修正手術は初回より高額になり、限られたドナーをさらに消費します。詳しくはトルコ植毛の総額と失敗リスクで中立に検証しました。
自毛植毛の費用に関するよくある質問
医療費控除については、実はクリニックによって説明が食い違っています。「治療目的で医師の診断があれば対象になる可能性がある(最終判断は税務署)」とする院と、「美容目的のため対象外」と明言する院があります。植毛は保険適用される?医療費控除は使える?で両者の見解を並べて検証しました。
「生え際を下げる」なら十分ですが、「頭頂部まで覆う」には足りません。1000グラフトの費用と、見た目がどこまで変わるかで面積換算しています。
「基本治療費」「株単価」のどちらか一方だけを見て判断しないでください。
また、そもそも1回の手術で移植できるのは通常3,000株程度が上限とされており、後頭部のドナーにも生涯の採取上限があります。「植え放題=いくらでも植えられる」ではない点は正確に理解しておいてください。
薬をやめると、植えた部分だけが残って周囲が後退し、いわゆる「離れ小島」の状態になることがあります。この薬代(年間6〜12万円程度)は、費用計画に必ず入れてください。詳細は植毛してもAGA治療薬をやめられない理由へ。
・生え際だけ・刈り上げてよい(500株)=36万〜72万円
・M字+前頭部・刈り上げてよい(1,000株)=66万〜137万円
・前頭部+頭頂部・刈り上げてよい(2,000株)=110万〜275万円
・前頭部+頭頂部・刈り上げたくない(2,000株)=149万〜473万円
最後の条件だけ、上下の幅が異常に広いことに注目してください。ここが、料金体系の選択が最も効く領域です。
データで見る自毛植毛|日本皮膚科学会ガイドライン・ISHRS世界調査・合併症のメタアナリシスに、発行元・調査時期・n数・出典URLを明記してまとめています。
まとめ:値切るのではなく、料金体系を選ぶ
自毛植毛の費用相場は36万〜300万円超。 この幅を生んでいるのは、株数だけではありません。 基本治療費・株単価・隠れコストという3階建ての構造と、刈り上げるかどうかという一見小さな選択です。 「刈り上げたくない」を選んだ瞬間、株単価は1.4〜2.5倍になり、2,000株なら300万〜470万円の世界に入ります。 これを回避する方法は値引き交渉ではなく、料金体系そのものを選び直すことです。 ただし定額制も万能ではなく、約1,300株が損益分岐点。 それ未満なら、株単価制の院のほうが安く済みます。 自分がどちらの側にいるのか。 それを知る出発点は、「自分に何株必要か」というたった1つの数字です。
参考:日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」(自毛植毛術=男性型脱毛症で推奨度B/人工毛植毛術=推奨度D)


